2012/12/04

ボキがみたアメリカ ~第8話~


と、ここ数年間に渡り幾度となく渡米し地道な取材を続けてきたわけだが「車を遠くまで走らせたいならガソリンじゃぶじゃぶ入れる大きなガソリンタンクを付けよう!」=大きな車を買おう!だった国民性が「燃費のいい車にしよう!」に大きくシフトチェンジした事を実感した数年ではなかろうか?


                                     
 今回のトリップではラジオからKendrick LamarとA$AP ROCKYの楽曲が歌謡曲のように流れ、その合い間には「I need more MPG!」(mile per gallon)の数年前なら聞かないような低燃費車を売り込むキャッチフレーズが聞こえてきたのが印象的であった。


しかし、大量投入、大量消費で回ってきた巨大空母はいきなり止れるはずもなく、ようやく「減速」してきた程度なのかもしれない。



一時期多くの日本人観光客でに賑わいをみせた全米第二位の都市、ロス・アンゼルスも例外ではなく、メルローズ等のかつて「ショッピングの一等地」と騒がれていた近辺にも空きテナントのサインが目立っていた。


だが「LA problem」と呼ばれ、ロスの代名詞とさえなっている朝晩のヘヴィなトラフィックは相変わらずで上下各4車線、計8車線のフリーウェイが埋め尽くされる様はたまにしか訪れる事のない著者の目には相変わらず壮観に映った。
 アクションスポーツ/ファッション業界でもブランドが組織の改編、再編を強いられ、淘汰されるブランドや規模の縮小を図るブランドが続出。


趣味にお金を回すのは生活の基盤が安定している事が大前提なワケであって、家賃も税金も払えないのに服や遊び道具を買う人はいないのだ。


経済の安定、発展があってこその産業なだけに死活問題である。 
プラスα産業と言っても過言ではない。


トレンドを「追う」ブランドの状況は厳しいようでどこも流行を生みだす側、トレンドセッターになろうと必死だ。


小さなパイを取り合うよりも、より安定した大きなパイを狙えるようにブランド自体の路線変更したり、強い所はマーケットのドミナント目指したり生き残りをかけた展開をしているようです。

このような状況でも、自分達を過信せず、過小評価もしない独自のカラーをもったブランドは生き残っているワケであって、ファストファッションが台頭する昨今、価格では勝負できないない分ブランド本来の「ステータス」で安定した売り上げを維持しているようだ。
 このセルアウトとアンダーグラウンドの狭間をどちらに転ぶ事もなく進んでいくのが至難の業であるがさまざまなsnsを駆使する事で大きな成功をしている所も少なくない。

snsには国境もタイムラグもない(一部の国、地域を除く)。

snsで有効に活用した非常に良い例が先日公開されたSpike Jonze監督のスケートボードムービー「Pretty Sweet」であろう。


販売が開始され、多くの購入者がInstagramやtwitterにその様子をハッシュタグを付けてアップするとムービーに出演しているトッププロ達が「イイネ!」をしたりコメントを残し、購入者を「Stoked」させ強烈な印象を残すマーケティングに打ってでた。

俺の写真に○○からイイネが付いた!」 「〇〇がコメントしてきた!」等、世界中のファン達がスーパースター達との交流に歓喜の声を上げた。

彼等は学校や街に出て、このエキサイティングな出来事を誇らしげに友人達に話すであろう。


snsと口コミのコラボレーションを実現させた。

そう、ストリートにハイプを生みだしたのだ。


よっぽどの駄作でなければあとはそのハイプが勝手に国境を超え歩き出してくれる。
Pretty Sweetに限って言えば「傑作」なのだからその効果は計り知れない。


買われないかもしれない雑誌の、見られないかも知れないページに巨額を投じて広告を出すより、よりダイレクトで速攻性のある打ちだし方なのかもしれない。



急速に普及するsnsが今まで誌面やスクリーン越しにしか見る事のできなかった憧れのスターとの直接交流を可能にし、よりコンパクトで身近な存在になったのもここ数年の出来事であろう。




何が正解か分らない現代だからこそ、全ての根底にある人と人のつながりを大切にしなければならないのかもしれないよと、アメリカがボキに語りかけた気がした。





手洗いうがいを忘れないように。




著: ruitek




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